お彼岸は日本の伝統的な行事で、春分と秋分を中心に前後3日間ずつの計7日間を指します。
2024年秋のお彼岸は、9月19日(木)~9月25日(水)でした。
2025年の春彼岸は、3月17日(月)~3月23日(日)です。
お彼岸には特に花を供えることが一般的で、先祖供養のために墓参りをしたり、仏壇に花を供える風習が根付いています。
今回は、お墓へのお供え花と仏壇へのお供え花にふさわしい花の種類について、詳しく紹介します。
お墓へのお供え花
お墓へのお供え花は、先祖への感謝と敬意を表すために供えられるものです。
お供えにふさわしい花を選び、できれば長持ちする花を選ぶとよいでしょう。
多くの花屋さんではお彼岸の時期だけでなく、一年を通してお墓用の花束をセットして販売しています。
お墓に適した花の選び方
お墓に供える花は屋外に設置されるため、風雨や日差しに耐えられて長持ちする種類が好まれます。
特に、仏教の儀式に関連する菊の花や白など淡い色合いの花が選ばれる傾向があります。
亡くなられて年月が経っている場合には、故人が好きだった花や明るい色を入れても問題ありません。
以下は、お墓に供える際に適した花の代表的な種類です。
菊
菊は日本で最も伝統的なお供え花として広く知られており、お彼岸にもよく用いられます。
特に白菊は清浄さと神聖さを象徴し、故人への敬意を表す花とされますし、黄色の菊もお彼岸の花としてお供えによく使われる花です。
菊は丈夫で日持ちがよく、屋外でのお供え花に適しています。
リンドウ
リンドウはお彼岸や法事などでよく供えられる清楚な雰囲気の花です。
深い青色の花と花茎がまっすぐに凛々しく伸びる姿が特徴的で、清々しい気分にしてくれます。
紫色のリンドウも
秋らしく人気があります
リンドウの凛とした姿は、故人への敬意や誠実な思いを表現するのに適しており、長年にわたってお供え花として重宝されてきました。
リンドウの花は比較的長持ちし、また秋の彼岸の時期と開花時期が重なることから、季節感を取り入れたお供え花としてとても人気です。
色と立ち姿が他のお供え花とバランスが取りやすく、墓前を清らかに彩ります。
カーネーション
カーネーションは感謝や愛情を象徴する花です。
特にお彼岸ではご両親や祖父母などに対する感謝の気持ちを表すために供えられます。
色のバリエーションが豊富なので、明るく可憐な雰囲気の花をお供えしたい場合におすすめです。
大きい花1輪のカーネーションと、1本に小さな花をたくさんつけるスプレーカーネーションがあります。
どちらのカーネーションも持ちがよく華やかなので、屋外のお墓に長く美しく彩りを添えてくれるでしょう。
ユリ
ユリは純潔や神聖さを象徴する花として知られており、特に白いユリは仏教の行事や供養の場でよく使われます。
お供えでは白が最も選ばれる色ですが、ピンクや淡い黄色のユリも優しさと華やかさを添えてくれるお供え花として人気です。
ユリは大ぶりで存在感があり、ゴージャスな香りで優雅さや高級感を演出してくれます。
お墓参りの花を供えるマナー
お墓参りにおいては、まず故人への敬意を表し墓石を清掃し、その後に墓前にある花立てに花を供えます。
左右対称になるように同じものを対で準備をし、風で倒れにくいように長すぎないようにして供えるのが一般的です。
また、先に供えられている花が傷んでいたり、枯れていたりした場合は、その花を取り除き新しい花を加えます。
常に枯れていない美しい状態を保つことはなかなか難しいですが、お参りに行った際にはきれいに映える花だけにして帰るようにしましょう。
仏壇へのお供え花
仏壇へのお供え花は、日常的に仏前に供えられるものですが、お彼岸は特に丁寧に準備される期間です。
仏壇は家の中にあるため、屋外に供えるのに適した花に加えて、室内向きの繊細な花も選ぶことができます。
仏壇に適した花の選び方
仏壇に供える花は、家族や親族が故人をしのびながら供えるものであり、色や香りなどが重要視されます。
仏壇は神聖な場所であるため、派手すぎない上品な花が選ばれますが、故人が好きだった色や花を選んでもよいでしょう。
お墓へのお供えで紹介した花(菊、リンドウ、カーネーション、ユリ)を仏壇に供えても問題ありません。
ただしユリは香りがとても強いため、苦手とする人もいることを考慮します。
以下は、仏壇に供える際によく使われる花の種類です。
トルコキキョウ
トルコキキョウは、ふんわりと柔らかな花びらとその上品で繊細な花姿から、仏壇へ供える花として人気です。
トルコキキョウの花言葉には「永遠の愛」「感謝」があり、故人への変わらぬ想いを象徴します。
白や淡いピンク、紫といった優しい色合いのトルコキキョウは、仏壇を華やかに彩りながらも神聖さを損なうことがありません。
故人を静かに偲ぶ空間を作り出し、なおかつ長持してくれるため、お彼岸だけでなく日常の供養にも最適です。
グラジオラス
グラジオラスは凛とした立ち姿と美しい花が特徴で、仏壇へのお供え花としても適しています。
花言葉には「誠実」の意味があり、故人への敬意や誠実な思いを込めて供えるのにふさわしい花です。
特に白や淡い色のグラジオラスは、仏壇の空間を落ち着いた雰囲気で彩り、故人の安らかな成仏を願う気持ちを表現します。
グラジオラスの花は切り花として日持ちもよく、仏前に長く上品な姿で咲き続けるため、日常的な供養にも適した花材です。
その縦に伸びる花姿が、故人への祈りを天に届ける象徴ともいえるでしょう。
キンギョソウ
金魚草(キンギョソウ)は、その明るい色彩と独特の形状で人気のある花です。
優しい雰囲気とスッとした花姿を兼ね備えたキンギョソウは、仏壇に供える際にもふさわしい選択肢となります。
金魚草の持つ「おしゃべり」や「清純な心」といった花言葉は、故人との懐かしい会話や心の対話、清らかな思いの象徴です。
また、金魚草は比較的日持ちが良く、仏前に長く彩りを添えてくれます。
明るい色合いの花ですが、白やピンクなど落ち着いた色を選ぶことで、仏壇の神聖さを保ちながら故人を偲ぶことができるでしょう。
仏壇の花を贈るマナー
仏壇に花を供える際には、左右対称に飾るのが基本とされていて、これは仏前の調和を保つためのマナーになっています。
しかしアレンジメントや花束として持参し訪問する場合には、同じものを2つ用意する必要はありません。
花束かアレンジメントかどちらを選ぶかは、先方の好みなどによります。
花束は花瓶を用意してもらう必要があり、アレンジメントは置くだけなので手軽という意見が多いです。
アレンジメントは飾るのは楽ですが、
ベースの容器や給水フォームの処分が必要です
仏壇に供える花は、あまりにも大きすぎるものや派手なものは避け、落ち着いた雰囲気の花を選ぶことが大切です。
亡くなられて日が浅い場合は、白を基調としたものを、年月が経過しているなら故人が好きだった色を入れても喜ばれます。
お墓や仏壇に選んではいけない花
お墓や仏壇にはふさわしくない花がありますので、自分で花を選ぶ場合には注意してください。
お花屋さんでは適切な花でまとめてくれるため、「仏壇用」や「お供え」として注文します。
お供えに選んではいけない花の例を紹介します。
とげのある花
アザミやバラ
バラは人気のある花のため、故人が生前好きだったという理由で仏壇に飾られるケースもあります。
毒のある花
ヒガンバナ、トリカブト、スズランなど
ヒガンバナの毒は、花の部分ではなく球根に含まれています。
意味や名前が良くない花
ヒガンバナ(別名:シビトバナ)、黄色のカーネーション(花言葉:軽蔑)など
実際には色ごとの花言葉まで気にする人は少数です。
お彼岸に供える花:まとめ
お彼岸は先祖供養の大切な期間であり、供花には感謝や敬意、故人を偲ぶ心が込められています。
お墓へのお供え花、仏壇へのお供え花、そしてお彼岸にふさわしい花の種類を選びましょう。
季節感や花の持つ意味を大切にしながら、故人への想いを伝えることが重要です。
菊やリンドウ、ユリなどの伝統的な花に加え、家族の気持ちを込めた控えめでありながら美しい花を供えることで、お彼岸をより深い意味で過ごすことができるでしょう。