最近の造花はとても美しく精巧で、本物の花と見間違えるほどのものもあります。
便利だからお供えに造花を選んでもいいのかな、と思いますよね。
仏壇に供える花には、深い意味とマナーが存在するため、基本的には生花を選ぶことが望ましいです。
しかし例外もありますので詳しく解説します。
仏壇には生花がベスト
仏壇のお供え花は生花が一般的とされ、望ましいです。
しかし毎日の手間や花の交換が大変という理由で、近年は自宅の仏壇には造花を供えているという家もあります。
まやん花を買いに行く、花瓶の水替え、
大変になることもありますよね
また、品質もデザインも優れた仏壇用の造花もあり、おすすめできます。
ただし自宅以外のお仏壇へ訪問する場合には、造花は避けた方がよいでしょう。
仏壇に生花を供える理由
花とともに香りも届けている
造花が本物の花のように美しく作られていても、叶わないのが「花の香り」です。
仏壇のお供え花には、ご先祖様へ花の香りも合わせて供えているとされています。
しかし最近では花のような優しい香りのお線香もあり、香りを届ける役目をしてくれているという考えもあります。
仏教の「諸行無常」の教え
どんなに美しい花も一生咲き誇ることはできません。
仏教ではすべてのものが移ろい終わりを迎えるという無常の教えがあり、いつかは枯れていく生花で「諸行無常」の考えを表しています。
花が持つ自然な生命のサイクルが死生観とリンクして、生花が仏教的な価値観につながっているのです。
造花を供えることは本当にダメなのか
造花には生命と生花の香りがない、という点が仏壇のお供えに適さない理由です。
また造花は手入れが不要なので手抜きの印象があり、仏壇への供花としてはマナー違反とされることがあります。
しかしいちばん大切なことは「故人への敬意や感謝の気持ち」です。
以前私が勤めていた花屋さんに
「夫が生前に造花でいいからと言ってくれたの」と命日だけ生花を買いに来られる女性がいました。
まやん笑顔が素敵で
幸せそうな方でした
ご主人も天国で安心していらっしゃると思います。
造花を供える場合でも、心がこもっていればご先祖様にも伝わることでしょう。
仏花にふさわしい花
仏花にふさわしいとされる花をいくつか紹介します。
造花の場合も参考にしてみてください。
菊
菊は仏花として定番とも言える、最もよく使われる花です。
特に白い菊は「清浄」と「無垢」を表し、故人を敬う気持ちを表現します。
カーネーション
母の日などでも人気のカーネーションですが、仏花としても好まれる花です。
カーネーションは感謝や愛を象徴する花で、故人への感謝の気持ちを表現します。
ランの花
「優雅」の意味があるランの花。
清らかで格調高いイメージは仏様へのお供えとしてふさわしく、造花やプリザーブドフラワーでもよく見られる花です。
故人が好きだった花
故人が好きだった花も、お供えにふさわしいと言えます。
造花の場合は、季節ごとで花の種類や色を替えてあげれば、変化があって心が伝わりやすくなりそうです。
仏壇の花に造花を使うポイント
生花の購入や手入れが難しく、造花を選択することもあるかもしれません。
その場合は以下の点に配慮することでご先祖様への敬意と感謝が伝わります。
リアルで質の良い造花を選ぶ
先にも述べたように、基本的にはお供えには生花が望ましいとされることが多いです。
造花を選ぶ際には簡易的な安っぽい作りではなく、本物に近い見た目とできる限り高い品質のものを選びましょう。
特別な日には生花を供える
普段は造花をお供えしていても、お彼岸やお盆、命日など特別な日には生花を飾ると故人への思いが伝わります。
年齢を重ねると特に、日々の生花の扱いは大変になることもあるでしょう。
生花と造花の両方を上手に取り入れれば、きちんと敬意も伝わるはずです。
まやん大切なのは想いですね
きれいな状態に保つ
生花と違って枯れることのない造花は、手入れがいらず長持ちすることがメリットです。
しかし長期間そのままではほこりがかぶってしまったり、汚れてきてしまったりします。
生花は枯れることで新しいものと替えるタイミングがわかりやすいですが、造花はうっかりすると汚れていた、ほこりがすごい、なんてことも。
定期的にほこりをはらい、ある程度の期間が経ったら新しいものに交換しましょう。
プリザーブドフラワーも利用してみる
造花ではありませんが、本物の花を長期保存できるように加工したプリザーブドフラワーも手入れがいらず長持ちする花です。
造花と同様に「生花を飾るのが大変」という場合に選ばれています。
生花に近い雰囲気が魅力で、仏壇向けの花を販売しているお店もあるのでふさわしいものを購入できるでしょう。
造花とプリザーブドフラワーの違い
| 造花 | プリザーブドフラワー | |
| 素材 | ポリエステルなど | 生花を特殊技術で加工 |
| 寿命 | 半永久 | 2～3年 |
| デメリット | 生花と比べて人工的 | 湿度管理が必要 |
まとめ
仏壇に供える花は、故人や仏様への敬意を表します。
伝統的なマナーでは、造花は避け生花を供えることが推奨されています。
その理由は、仏教の教えである「無常」を表現することや、花の香りも供えることで心を込めた供養ができるとされているからです。
しかし、現実の生活では常に生花を供えることが難しい場合もあります。
その場合には、
・リアルな造花を選ぶ
・品質の良いものを選ぶ
・定期的にほこりをはらってきれいにする
・特別な日には生花を飾る
などに気を付けながらお供えすれば、自宅であれば問題ありません。
しかし、身内以外のお仏壇に訪問する場合は造花は避けた方が無難です。
仏花を供える際には、故人や仏様への感謝と敬意を忘れずに、心を込めた供養を心がけましょう。