菊の花は縁起が悪いと思われている人もいるかもしれません。
しかし菊の花は古くから日本の文化や生活に深く根付いており、美しさと品格を象徴する花です。
縁起が悪い花ではありませんが、菊の花が「縁起が悪い」とされる理由があります。
その理由や意味、特徴、花言葉、そして知っておくべきマナーについて詳しく解説します。
菊の花が縁起が悪いとされる理由
菊の花が縁起が悪いと感じられることがあるのは、主に日本の文化における宗教的・伝統的な要素が関係しています。
特に仏教や日本の葬儀文化において、菊は死や別れの象徴として扱われることが多く、このイメージが一般的な認識に影響しています。
菊は葬儀に使われることが多い
菊の花は、葬儀やお墓参りに供える花としてよく使われています。
日本では菊が長寿と不朽の象徴である一方、葬儀の際に供えることから「死」を連想し、縁起が悪いと感じる人もいます。
仏壇への供花としての花
菊は仏壇に供える花としても非常に一般的です。
多くの家庭では亡くなったご先祖様への敬意を示す意味で、仏壇に菊を供えます。
このことが菊は「死」や「別れ」を象徴する花、という印象を強める原因のひとつです。
白菊が死を連想させる
特に葬儀で使われることが多く、純潔や祈りの象徴として扱われるのが白菊。
白菊は故人を慕う意味があり、その清廉さから葬儀の場にふさわしいとされています。
「葬儀には菊」という死を連想させるイメージが、縁起が悪いと取られる理由です。
日常生活で、特にお祝いやプレゼントなどでは白菊を贈ることはほぼありません。
菊の花が持つ特別な意味と花言葉
菊は日本において特別な意味を持つ花です。
菊は美しさだけでなく、歴史的にも文化的にも深い意味を持ち、日本の象徴としての知られています。
菊の起源
菊の花はもともと中国が起源で、日本に伝来したのは奈良時代(710〜794年)だと言われています。
平安時代には貴族たちの間で栽培されるようになり、皇室の家紋にも使用されるようになりました。
皇室と菊の関係
菊は日本の皇室の象徴としても有名で、「菊の御紋」として特別な意味を持ちます。
「菊の御紋」として皇室の家紋に使用されている菊花は、他の家紋とは一線を画す存在です。
「十六弁八重表菊」(じゅうろくべんやえおもてぎく)と呼ばれる、16枚の花びらが二重に並ぶデザインが皇室の家紋として使用されています。
このデザインは日本の皇室を象徴する紋章であり、格式と威厳を象徴し国章に準じた扱いを受けている存在です。
菊が持つ意味と花言葉
菊の花言葉は「高貴」「高尚」「高潔」など。
純潔、平和、長寿といった象徴的な意味もあり、これらの意味が供養の場で重んじられています。
色ごとの花言葉もありますのでご紹介します。
白い菊の花言葉
「真実」「誠実」「哀れみ」
白い菊はその清らかさから、純粋で誠実な心を象徴する花です。
一方で、葬儀やお墓参りに使われることが多いことから、「哀れみ」や「別れ」を意味することもあります。
黄色い菊の花言葉
「幸福」「長寿」「元気」
黄色い菊は、太陽のような明るさを持ち、希望や元気を与える花として愛されています。
また、皇室の家紋にも使用されていることから、「高貴」という意味も込められています。
紫の菊の花言葉
「信頼」「夢が叶う」
お墓やお供えのイメージが少ない紫の菊。
ピンポンマムなど可愛らしい花姿の菊なら、プレゼントにも使えそうです。
菊の花の特徴
意外と知られていない菊の基本情報や特徴をお伝えします。
菊の基本情報
- 学名 :Chrysanthemum morifolium
- 科名 :キク科(Asteraceae)
- 原産地:中国を中心とした東アジア
- 花期 :主に秋(10月~11月)、品種によっては春や夏にも咲く
- 花色 :白、黄色、紫、ピンクなど
菊は多年草で特に花期が長く、耐久性に優れた花です。
日本では約1000年以上の栽培の歴史があり、品種も多岐にわたります。
色や形も多様であり、一般的にお供え花として用いられるのは、白や黄色、淡いピンクのものが多いです。
アレンジメントにも使いやすい洋風な品種「ピンポンマム」など可愛らしい雰囲気の菊もあります。
秋を象徴する花
菊は秋を代表する花で、日本の四季を象徴する存在として大切にされています。
秋の菊は古来より「菊の節句」として親しまれ、菊を鑑賞する重陽の節句(9月9日)は、長寿を祈る習慣です。
菊花展
毎年秋に各地で開催される菊花展は、多くの人々が楽しみにしているイベントです。
美しく形作られた菊の花が展示され、日本全国から菊の愛好家が集まります。
菊の節句
9月9日は「重陽の節句」で、菊を愛でる古くから行われている行事です。
この日は長寿を祈願し菊を飾り、菊の花びらを浮かべたお酒やお風呂を楽みます。
菊の花を贈るマナーと選び方
菊の花は場面によって適切かどうかが分かれるため、贈る際には注意が必要です。
日本では菊の花が葬儀や仏事に使われることが多いため、一般的なギフトや祝い事には適していない場合があります。
ここでは菊の花を贈る際の基本的なマナーを紹介します。
お祝い事には避ける
菊は高貴な花であり伝統的な意味を持つ一方で、特に白菊は葬儀や仏事のイメージが強くあります。
結婚式や誕生日、その他のお祝い事には避けた方が良いです。
ただし、ピンクや紫の菊やスプレーマム、ピンポンマムなどは華やかで可愛らしくもあり、花束やアレンジメントの中に使われることもあります。
病気見舞いには注意
菊の花は長寿の象徴でもあるため、病気見舞いに贈ることは一見良いように思われるかもしれません。
しかし菊は「仏花」のイメージがあるため、病院や療養中の人に贈ることは避けた方が良いでしょう。
代わりに明るい色のバラやカーネーションを選ぶ方が無難です。
なお、お見舞いには菊に限らずすべての鉢植えは避けます。
鉢植えには根があることから「根付く(寝付く)」という意味につながっていることが理由です。
仏事には適切な花
菊は故人の清らかな魂を象徴する花として位置づけられていて、仏前や墓前の神聖な場にふさわしいとされています。
切り花としても非常に丈夫で、一週間以上持つことができるため供花に最適です。
特に白菊は葬儀や法事などの正式な場で最もよく使われ、故人の清らかな魂を象徴する花として位置づけられています。
お供え用の菊の選び方
白菊
白菊は最もポピュラーなお供え花で、故人への追悼や感謝を示す花として広く用いられています。
白は純粋さや清浄を象徴し、仏教の教えにおいても重要な色とされています。
黄色の菊
黄色の菊は太陽や生命力を象徴する色であり、成仏を願う意味が込められています。
特にお彼岸やお盆の時期には、黄色の菊がよく用いられます。
小菊(スプレーマム)
小菊は一般的な大輪の菊に比べて小ぶりで、仏壇や墓前に供える際にコンパクトなアレンジメントがしやすい花です。
特に複数の色がミックスされた花束やアレンジにすることができ、華やかさを添えるために利用されます。
ピンポンマム
ころんとした丸い形が可愛いスプレーマムは、仏事だけでなくお祝いにも使われる花です。
ピンクや黄色、紫など可憐な色がそろっており、お墓でも仏壇にも優しく華を添えます。
まとめ・菊の花は縁起が悪い花ではない
菊の花は葬儀や仏事でよく使われるため、「縁起が悪い」と思われがちですが、実際はその逆です。
日本の皇室の象徴であり、高貴さや長寿を表す縁起の良い花です。
しかし葬儀やお墓、仏壇などに用いられることが多いため、お祝いなどの贈り物には適しません。
白菊は清浄さや故人の魂の安らぎを願う象徴的な花として、また秋の代表的な花としても親しまれています。
菊は故人の魂の安らぎを願う象徴的な花として、敬意や感謝の気持ちを表現する花です。
菊の持つ豊かな意味や美しさ、花言葉に込められた誠実さを理解し、人生の中で適切に取り入れていきましょう。